塩をまかれて

15年ほど、調剤薬局をやっていた頃、

私の主な仕事は店舗開発でした。

 

薬局に適した土地を探して、

地主さんと出店の交渉をすること。

 

薬局って、立地ビジネスなんです。

 

みなさんもご経験あるかもしれませんが、

ほとんどの人は病院から一番近い薬局に行きます。

 

例えそれが、隣同士でも、

1軒通り越して、その先の薬局に行く人はとても少ないんです。

 

10メートル先の薬局の方がずっと空いているのに。

 

病院の門から、すぐ隣の薬局と、さらにその隣の薬局では、

患者さんの数はだいたい2:1か、

場合によっては、3:1くらいになります。

 

だから、薬局をチェーン化する際の、

一番大事な肝は、いかに良い立地を探してくるかなんです。

 

かつては、来る日も来る日も出店できそうな立地を探す、

っていうことをしていました。

 

病院の前に更地があればいいのですが、

病院の前って、花屋さんやケーキ屋さんがある場合も多いですよね。

 

想像してみてください。

 

営業しているお店に行って、

「そろそろ店をやめて、薬局として貸してもらえませんか?」

 

っていう交渉をするんです。

 

だいたい、塩まかれるか、水まかれるか、です。

 

でも、翌日も何食わぬ顔でまた行く。

 

それを続けていると、人間不思議なもので、

情が湧いてくるのか、話を聞いてくれるようになるんですね。

 

先程言ったように、薬局って立地がとても大切なので、

大抵は、今の仕事を続けているよりも有利な条件を出せるんです。

 

そうして、商売辞めて、薬局として貸してくれることも多々ありました。

 

そこまで行くと、今度は逆に信頼関係がすごいんですね。

地主さんにとっては、商売辞めるとか、家を薬局用に立て直すとか、

一生に一度あるかないかの決断をする訳です。

 

私のことを信用して。

 

「木下さんを一生頼りにするから」

みたいになる訳です。

 

そんな訳で、薬局を辞めた今でも、

お付き合いのある地主さんもいるんですよ。

 

それはともかく、薬局を辞めた理由の一つは、

薬局という仕事が「競争」でしかないからです。

 

私たちがその「一等地」を確保できなければ、

他の薬局がそこを押さえて、開店するだけです。

 

社会的にはどちらでも変わらないんです。

 

それに対して、ブロリコや今私たちが開発している成分は、

世界で初めて私たちが開発する成分です。

 

これを生み出すことによって、

世界の健康に貢献できると信じています。

 

これからも、「競争」ではなく、

「イノベーション」で世界を変えていきたいです。

 

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